オーストラリアで看護師として働くことに興味がある方へ。この記事では、オーストラリアで看護師になるまでのプロセスを、隅から隅までまとめました。これから看護師を目指す方、海外でキャリアを広げたい方、そして実際にオーストラリア移住を考えている方の参考になれば嬉しいです。
私は日本の看護大学を卒業しているため、大学卒ルートでの登録プロセスを中心に、実体験を交えながら詳しく解説していきます。
同じようなバックグラウンドを持つ方にとって、少しでも具体的なイメージができる内容になればと思っています。
- 2022.6英語試験(IELTS)
2回受験
- 2023.11. 情報収集
- 2023.42.英語試験 (PTE)
4月と9月に受験
- 2024.13. AHPRA Self-check (無料)
- 2024.14. IQNM申請
- 2025.4オーストラリア到着
ワーホリビザ使用
- 2025.7.9Stream Bの認定が下りる
申請書類のJPのサインを見逃してたため、通常より少し時間がかかってしまいました。
- 2025.7.16ATT申請
Authorization To Test (NCLEX-RNの承認)
- 2025.8.16ATT申請許可が下りる
- 2025.9.275. NCLEX-RN受験
- 2025.9.29NCLEX合格通知受け取る
- 2025.10.3OSCE支払い
- 2026.1.166. OSCE受験(メルボルン)
- 2026.3.2OSCE合格通知受け取る
- 2026.5.187. 再度のPTE英語試験
- 2026.5.228. AHPRA看護師登録申請
- 2026.?AHPRA看護師登録待ち
看護師登録までにかかった総費用まとめ
| 内容 | 料金 |
| AHPRA 評価 | A$410 |
| NCLEX-RN承認申請 | US$220 |
| NCLEX-RN fee | US$165 |
| OSCE | A$4000 |
| OSCE対策コース | A$2400 |
| PTE | A$490 |
| AHPRA登録申請 | A$525 |
| ICHC犯罪履歴チェック(2カ国) | A$321 |
| 合計 | AU$8,531 (約¥972,363) |
実際には、英語試験(PTEとIELTS)は合計で5回受験しており、それだけで約20万円近くの費用がかかりました。さらに、試験費用以外にもさまざまな関連コストが発生しています。例えば、私の場合、オーストラリア滞在のためのワーキングホリデービザ(約A$650)やパートナービザ申請費用(約A$9,300)、また厚生労働省への行政処分証明書依頼の国際郵送費(約A$33)など、登録や申請に関わる諸経費も別途必要でした。
このように、試験費用だけでなく、ビザや書類関連の費用も含めると、全体としてはかなり大きな金額になることを実感しました。
続いては、看護師として登録に至るまでの主な流れについて、実際のステップを詳しく説明していきたいと思います。
1. 情報収集と準備
まずはじめに必要なのは情報収集。自身が大学出身か、専門学校出身か、学歴によって進む進路が変わってきます。
- オーストラリア看護師登録機関(AHPRA: Australian Health Practitioner Regulation Agency)の公式サイトを確認
- 自分の資格が「国際的に認められるか(IQNM対象か)」を確認
- 必要な英語試験(IELTS, OET, PTEなど)の情報収集
2. 英語力の証明
- 看護師登録には一定の英語スコアが必須(2026年5月時点)
- IELTS Academic: 各セクション7.0以上 (Writing 6.5)
- OET Nursing: 350 in Listening, 360 in Reading, 350 in Writing, and 360 in Speaking
- PTE Academic: Speaking 76, Writing 60, Reading 59, Listening 58以上、Overall 63以上
私の場合、2024年9月にPTEのスコアを取得していましたが、その後2025年3月と2026年4月に英語力の基準が2度変更されました。英語試験を早く受けすぎると、後から基準が変わり影響を受ける可能性もありますので注意が必要です。
3. AHPRAにてSelf-checkを行う。
まず最初のステップとして、AHPRA(Australian Health Practitioner Regulation Agency)の公式サイトで「Self-check(セルフチェック)」を行います。これは無料で利用でき、自分がオーストラリアで看護師登録の申請対象となるかを事前に確認するためのものです。
セルフチェックでは、学歴や看護師資格、実務経験、英語力などの基本情報を入力し、AHPRAの登録要件におおよそ適合しているかどうかを確認します。この段階では正式な審査ではなく、あくまで申請前の目安を知るためのステップです。
そのため、ここで結果が完全に合否を決めるわけではありませんが、自分の進むべきルートや必要な準備(英語試験や書類準備など)を整理する上で非常に重要なプロセスとなります。
4. IQNM申請
IQNM申請(Australian Health Practitioner Regulation Agency)は、セルフチェック後に行う正式な評価プロセスで、海外で看護資格を持つ人がオーストラリアで登録するためのルートを決定する重要なステップです。
私は大学出身のためストリームBに該当し、IQNMポータルから学歴・職歴・資格・英語力などの情報と書類を提出し、それをもとにAHPRAが教育内容や臨床経験がオーストラリア基準にどの程度一致しているかを評価します。その結果、ストリームBでは多くの場合、NCLEXやOSCEといった追加試験が必要と判断され、最終的な登録に向けて試験準備へ進む流れになります。
ここでは少し詳しく、流れが分かるように説明します。
主な流れ
① アカウント作成・申請開始
IQNMポータルでアカウントを作り、個人情報・学歴・職歴・資格情報を入力します。
② 書類提出
以下のような書類を提出します:
- 看護師資格証明書(免許)
- 成績証明書(学校)
- パスポート
- 職務経歴証明(必要に応じて)
※書類は基本的に英語翻訳が必要で、JPのサインが必要になります。
③ AHPRAによる評価
提出した情報をもとに、AHPRAがあなたの教育・経験がオーストラリア基準にどの程度一致しているかを評価します。
④ 結果確認
IQNMの審査で必要と判断された場合、OBA(Outcome-Based Assessment)を受ける。
- NCLEX-RN試験(アメリカの看護師試験と同じ)
- OSCE試験(臨床シナリオ実技試験)
IQNM申請は単なる書類提出ではなく、「オーストラリアで看護師として働くためのルート分岐」が決まる重要なステップです。この結果によって、その後のNCLEXやOSCEの必要性も変わるため、非常に重要なプロセスになります。
私はストリームBとしての結果であったため、NCLEXとOSCE受験が必須でした。
5. NCLEX
OBA(Outcome-Based Assessment)の結果を取得した後は、まずAustralian Health Practitioner Regulation Agencyから「NCLEX受験のための承認(Authorization)」を受け取り、その後に試験準備へ進みます。次に、Pearson VUEのシステムでNCLEX(NCLEX-RN)の受験申請を行い、ATT(Authorization to Test)が発行されたら試験日と会場を予約します。準備が整ったら試験を受験します。
体験談
私はNCLEXを2025年9月に受験。本格的に勉強を始めてから合格までの期間は約4ヶ月。平日はほぼ毎日勉強し、仕事は週3回ほど(1回約4時間)行っていました。仕事がある日は2時間前後、仕事がない日は約7時間ほど勉強し、かなり集中した生活を続けていました。土日はパートナーの休みでもあったため、私も休息とリフレッシュの時間として過ごしていました。
試験がある9月は仕事を週2回に減らし、土日以外はほぼ勉強に集中する生活に切り替えました。前日の夜は総復習にあて、当日は朝6時に起床してヨーグルトを食べ、試験会場へ向かいました。試験は8時開始、11時30分頃に終了しました。
NCLEXは85問〜150問の間で終了するアダプティブテストで、5時間の試験時間の中でペース配分を意識しながら解いていきました。85問で終わることを願いながら進め、実際に85問で終了。しかし、その時点では手応えが全くなく、知らない手術名や薬の問題も多く、「今回は無理だった」と感じるほど落胆していました。
試験後はそのままランチを食べて帰宅しましたが、嬉しさは全くなく、「また受け直せばいい」と自分に言い聞かせながら結果を待ちました。
通常は6週間以内に結果が出ると言われていますが、実際には試験からわずか2日後、通勤中の電車で一通のメールを受け取りました。そこには「合格」の文字があり、自分でも信じられず、間違いではないかと思うほどでした。
6. OSCE
NCLEX(NCLEX-RN)に合格すると、OBAプロセスの次のステップとしてOSCEに進む準備が開始されます。まずAustralian Health Practitioner Regulation AgencyからOSCE受験料の支払い案内が届き、支払い完了後に受験候補リストへ追加されます。その後、試験センターの空き状況に応じて「受験日程の提案(invitation)」が送られてきます。この提案には指定された期間での受験枠が提示され、その期間で受験を希望する場合は受け入れ(accept)することで予約が確定します。一方で、その期間に都合が合わなければ見送ることも可能ですが、その場合、次の提案がいつ来るかは明確には決まっておらず、空き状況に応じて次回の枠で再度案内が来る流れとなります。そのため、希望するタイミングで必ず受けられるとは限らず、スケジュールの柔軟性と待機期間の不確実性がある点が特徴です。
体験談
NCLEX合格後、すぐにOSCEの支払いを済ませ、受験日の案内を待ちました。同時に、早めに対策を始めるためOSCEのコース選びも進めました。自宅から通える範囲の練習できるラボがあること、そして試験直前にモックテストが受けられる点が決め手となり、AuRNPathwayを選びました。
対策はまずオンラインで約10項目の動画を視聴し、基本的な流れを学ぶところから始まりました。その後はひたすら声に出してシナリオ練習を繰り返しました。特に確実に出題される7項目には重点的に取り組み、それ以外の項目も8分間以内でシナリオを完了できるよう、テンプレートに沿って練習しました。
試験の1週間前には、約3日間のモックテストを含む集中トレーニングを先生と一緒に行い、曖昧な部分を重点的に修正しながらフィードバックを受けて改善していきました。
試験当日は、緊張するとは分かっていてもやはり強いプレッシャーがあり、8分間が驚くほど短く感じました。振り返ると、シナリオの確認不足や時間への焦り、ファイルなどの確認不足が課題だったと感じます。
一番の学びは、「緊張下でも考えずにできるレベルまで練習すること」の重要性です。実際に手が震えてしまい、Fluidを開ける動作ひとつにも時間がかかってしまいました。合格に100%の完璧さは必要ないとしても、セカンド・ネイチャーのレベルまで落とし込めるかどうかが合否の鍵だと感じました。また、普段の練習からどれだけ本番に近い環境を再現できるかも非常に重要だと思います。
7. PTE
OSCE合格後のPTE(英語試験)対応については、AHPRAの登録プロセスの一部として、重要な期限が設定されています。OSCEに合格した後は、原則として3ヶ月以内に次の申請(英語要件の提出や登録手続きの進行)を行う必要があり、この期間を過ぎるとアカウントが一時的にインアクティブ状態になるとのこと。ただし、3ヶ月を超えてしまった場合でも、AHPRAへ連絡し事情を説明することで、アカウントを再度アクティブに戻してもらえるケースもあります。そのため、期限内での対応が基本ではあるものの、状況に応じて柔軟な対応が可能な仕組みになっています。
体験談
私は3月上旬にOSCEの合格通知を受け取ったため、そこから3ヶ月以内、つまり6月上旬までにPTEの基準をクリアする必要がありました。限られた時間の中で集中して英語学習に取り組み、スコア達成を目標に準備を進めました。そして実際のPTE受験は5月18日。期限に対してかなりギリギリのタイミングでしたが、なんとか間に合わせる形で挑みました。
私の場合は2024年にすでに2回PTEを受験した経験があったため、特に基準値の高いSpeakingを中心に毎日学習しました。約2ヶ月間の勉強期間で、モックテストは合計6回ほど、そのうちSpeakingだけの練習も4回ほど行いました。
使用した教材は主にApeUniとPTE Alfaです。PTE Alfaはアプリのデザインが可愛く、モチベーション維持にもつながると感じて登録しました。一方で、AlfaのモックテストではSpeakingが65〜70点程度とやや低めに出ることが多く、最初は少し焦りました。
しかしApeUniでは80点前後が安定して取れていたため、そちらを基準として自信を保ちつつ、Alfaのスコアはあまり気にしすぎないようにして試験に臨みました。結果として本番ではSpeaking 78を取得でき、ApeUniの方が実際のスコア感に近いと感じました。しかし、当日は周囲の声が気になり、集中力を保つのに必死でした。その影響もあり、特にRepeat Sentenceはモックテストよりも出来が悪かったと感じています。
8. AHPRA登録申請
以上の3つの試験を無事に合格すると、AHPRA登録申請を最終段階として進めます。まずAHPRAのオンラインポータルにログインし、PTEのスコア証明を含む最終書類(身分証明、資格証明、犯罪証明など)を提出して登録申請を完了させます。その後、AHPRAによる最終審査が行われ、提出書類の整合性確認や犯罪経歴チェックなどが実施されます。問題がなければ登録が承認され、登録番号(AHPRA registration number)が発行され、オーストラリアで看護師として正式に勤務できる状態になります。
私は今この登録を待っている状況です。また結果がわかり次第ご報告したいと思います。
最後に
海外で看護師になる道は、決して簡単ではないと実感しています。書類、英語、試験、待機期間…。何度も心が折れそうになりました。
それでも、一歩ずつ続ければ前に進めると、この経験を通して感じました。子供の頃から勉強が嫌いなわけではありませんでしたが、高校でも大学でも成績がそんなに良かったわけではありません。何度挫けそうになって、何度弱音を吐いたかわかりません。
そして一番に、いつもそばで話を聞いてくれて支えてくれた家族・友達には心から感謝しかありません。
まだ、登録申請の結果が来てないので何とも言えませんが、これからオーストラリア看護師を目指す方の力に少しでもなれたら嬉しいです。


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